NISA制度は2024年から制度変更になります。本記事は制度変更前の内容となっており、2023年内いっぱいまで有効です。くわしくは新制度について現行制度からの変更点を書いた以下の最新記事をご覧ください。
NISAを始めようとしたときに、「株にしようか…」「投資信託にしようか…」と悩んでいませんか?
実は、そのように悩んでいる時点で、その方へのおすすめは「投資信託」になります。
株式投資について経験を積んできた方は、NISAを始めるときに投資商品について悩まないものです。自分自身の得意な分野で、投資方法を決めることができるからです。
しかし、投資に関して経験が浅い方はもちろん、投資の経験を積んできた方にも、NISAでは投資信託がおすすめです。NISAで投資信託を行うと、メリットがたくさんあるからです。
投資信託がNISAやつみたてNISAに向いている理由
投資信託というと、1つの金融商品のように思われて、選択肢が非常に狭まってしまうように思われがちです。
しかし、投資信託は様々な金融商品を投資の対象としていています。投資信託をひとつ持っていることで、上場株式・ETF・REITなどを持っているのと同じようなことになるのです。
NISAやつみたてNISAで投資信託を行うと得られるメリットには、次のようなものがあります。
1.小額でも投資できる
株の最低購入単位は100株となるために、株式をNISAで購入する場合には、一度に多額の資金が必要になります。
しかし、投資信託の買い方には、買いたい時に買う「スポット購入」と、ある一定の期間ごとに購入する「積み立て」の2種類があります。積み立ては一度の投資金額が少額で済み、少ない金額でも投資することができます。
2.NISA枠を使い切ることができる
NISAもつみたてNISAも1年間に投資できる金額が決まっていますが、使い切れなかった場合には、その枠を翌年に繰り越すことができません。
投資信託は1口1万円程度から申し込め、100円単位で投資できる場合が多いです。ですから、NISAの投資枠をほとんど余すことなく、100円単位まで使い切ることができます。
3.投資する商品を比較的容易に選択できる
NISAで投資できる金融商品の種類は多岐に渡っていて数も多いので、投資する際には、購入する商品を選択することが難しくなってしまいます。
一般の投資信託の商品は2000以上ありますが、つみたてNISAで購入できる投資信託は、国の厳しい基準をクリアした約200の商品になっています。投資に慣れていない人でも、選択が比較的容易になります。
※上場投資信託(ETF)は、投資信託が上場して株のようにリアルタイムで売買できる商品です。
つみたてNISA対象商品数 | 2021年6月18日時点 |
種類 | 本数 |
指定インデックス | 173本 |
アクティブ運用投資信託等 | 19本 |
上場株式投資信託(ETF) | 7本 |
合計 | 199本 |
【参照】金融庁HP
NISAやつみたてNISAに向いている投資信託とは
つみたてNISAで投資できる投資信託は、「株式に投資する投資信託」か、「株式を含む資産複合型(バランス型)」になります。債券やREITだけに投資する商品などは、対象外となっています。
投資の基本としては、「長期・積立・分散」という考え方があります。投資信託を選択する際にも、それらを意識する必要があります。
1.株式をメインにした投資信託
つみたてNISAの場合は、株式をメインにした投資信託がおすすめです。
株式は他の金融商品に比べて、ハイリスクですがハイリターンです。長い期間をかけて運用していける人は、株価の変動に対応しやすいので、株式に投資する投資信託をメインに据えることがおすすめです。
2.繰上償還リスクの少ない投資信託
NISAやつみたてNISAでは、投資信託を解約してしまうと、その枠は再利用できません。償還予定前に償還される「繰上償還」が起こってしまった場合も同様になります。
なるべく繰上償還されるリスクの低い商品を、選ぶようにしましょう。
3.実績のある投資信託
同じ指数に連動するインデックス投資信託がたくさんある場合には、「運用実績がある」投資信託がおすすめです。
新規設定の投資信託の場合は、過去の実績を見ることができません。「純資産総額が安定的にふえている」という観点が重要になるので、しっかりと実績を確認してから選ぶようにしましょう。
NISAとつみたてNISAについて
NISAもつみたてNISAも、どちらも「少額投資非課税制度」と呼ばれる、一定額の投資額に対して得られる分配金や売買益にかかる税金が非課税になるお得な制度です。
金融機関にそれぞれの口座を開設することで、運用を開始することができますが、2つの口座を同時に運用することはできません。口座開設の際に、NISAかつみたてNISAのどちらか1つを選ぶことになります。
NISAでは、投資信託・上場株式・ETF・REITなど幅広い商品を対象に投資することができます。
一方、つみたてNISAで投資できる金融商品は、「手数料が低水準」「頻繁に分配金が支払われない」など、金融庁が定めた基準をクリアした投資信託とETFのみになります。
つみたてNISAと一般NISAについて
投資信託について
投資信託は「投資信託運用会社」で作られ、主に証券会社、銀行、郵便局などの「販売会社」を通じて販売されます。
多くの投資家から集められた資金は「信託銀行」に保管され、運用会社は信託銀行に指示を与えて、株や債券の売買を行わせます。
証券会社や銀行などの販売会社は投資家ごとの口座を管理して、投資信託の販売や換金、分配金・償還金の支払いなどを行います。
投資信託の主な投資対象には、次のようなものがあります。
1.株式
株式会社に出資して、会社の利益に応じた配当金をもらいます。株価は企業の業績等に連動することも多いため値動きが比較的大きく、リスクとリターンは債券より大きいといえます。日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)、米国のダウ平均などの株価指数と同じ値動きになるよう構成された株式投資信託を特にインデックスファンドと呼びます。
2.債券(国債・社債)
活動するためのお金を借りるために国や企業が発行している証券のことで、「国債」「社債」などと呼ばれて販売されています。リスクが小さいですが、リターンも小さい投資商品です。
3.不動産投資信託(REIT)
REIT(リート)とは、「Real Estate Investment Trust」の頭文字をとった略称で、日本語では「不動産投資信託」のことを指します。国内外の不動産に投資して、賃料収入を投資家に分配する仕組みになっています。
4.コモディティ
金・原油・穀物などの日常生活に必要な資源や商品(コモディティ)に投資する投資信託です。商品先物指数の価格変動に大きな影響を受けますが、投資信託になることでコストを抑えて始めることができます。
5.上場投資信託(ETF)
東証やニューヨーク証券市場などに上場し、実際の株のようにリアルタイムで売買できる投資信託のことをETFと呼びます。内外の株価指数に連動するETF、REITに投資されるETF、金や原油の商品指数に連動するETFなどの商品があります。
6.公社債投資信託(MRF・MMF)
公社債投資信託は株式を組み入れない投資信託のことです。銀行預金のようなイメージですが、安全な短期債で運用するため、元本保証はないものの銀行預金より少し高い利回りで運用ができます。
【出典】資産運用完全ガイド 投資信託(投信)の種類とは?7つの分類方法を詳しく解説!
まとめ
現行のNISA制度は、2023年までの制度となっています。その後には、新NISAが誕生することになっていますが、一般NISAとつみたてNISAの継続は決定しています。
つみたてNISAに関しては、2037年までの期限を設けての導入だったため、非課税で投資できる期間が年々短くなっていくことが問題視されていました。
しかし、新NISAでは制度期限が2042年まで延長されることが決まっています。早く始めれば、非課税投資期間を最大限に活用することができます。
お得で便利な制度だと言っても、活用しないとその恩恵は受けることができません。この記事を参考にして、NISAで投資信託を始めてみましょう。